有機化学実習 ガラス細工

Page No.1 2005/04/06

[目的]有機化学実験を行う上である程度のガラス細工を行う必要がある。本実習では最低限必要なガラス細工を安全に行えるようにすることを目的とする。

[実験条件]ガラス細工に用いるガラスとして「軟質ガラス」を用いる。純粋なSiO2からなる石英ガラスは非常に硬く、細工するためには酸水素炎で1700℃から1900℃に熱する必要がある。これにB2O3を混ぜ合わせたのがパイレックスガラスで、酸素を吹き込んだ炎で細工をする。今回用いる軟質ガラスはSiO2に金属の酸化物(Na2O、K2O、CaO、Al2O3、PbO)を添加したもので、軟化点は450℃程度であり、空気を送り込んだ炎で細工が可能である。
加熱にはガスバーナーを用い、空気を送るにはふぃごを足で踏んで行う。
ガラス片が目に入ると危険なので、ガラス細工時は保護眼鏡を着用する。

[実験方法]
ガラス管の切断方法

○手折法 ガラス管の切断しようとする所にヤスリで切り傷を付け、その傷を外側に向けて両手の親指で1〜2cmの間隔で挟んで、両端に向けて外側に引っ張り、そこに曲げる力を少し加えると切ることができる。
(注意点)
ヤスリは押しながら切る。
折る時は周りに人がいないことを確認する。
切断面は炎で熱してまるめておく。

○焼玉法 短いガラス管の切断など手折法ではできない場合に用いる。切りたい所にヤスリで傷を付け、傷の1〜2mm先にバーナーで赤熱したガラス小球をあてる。するとヤスリ傷に亀裂が入りガラス管を切断することができる。

細工

キャピラリー(TLC用、10〜20本程度)
ガラス管を回しながら柔らかくなるまで赤熱し、炎から出して左右に引っ張り伸ばす。
内径0.5mm、20cm程度に切断。

融点測定管(5〜10本程度)
内径1mm、長さ10cm程度のガラス管を作り、一端を小さな火で熱して閉じる。

二段引きキャピラリー(減圧蒸留用、1〜2本)
外形1mm程度で引き伸ばした後、それを小さい炎で熱し、炎の外に出し一気に引き伸ばす。
穴が通じているかはビーカーに入れたアセトン中にキャピラリーの先端を入れ、スポイトでキャピラリーに空気を押し出して先端からよく見ると小さな泡が出ているようならば良い。

沸石(10個程度)
ガラス管を十分に熱し柔らかくなったら、炎の中でよくこねて(30回以上)空気を取り込ませる。白く不透明になったものを引き伸ばし、2cm程度に切断する。

曲管(鋭角、鈍角、2-3組程度)
一端を閉じたガラス管を強く熱し柔らかくなったら炎から取り出し、管を曲げ息を吹き込む。ゆがんでいるところ(特に内側)は再び加熱し息を吹き込んで整形する。両端は炎で加熱して丸めておく。

[実験経過]

キャピラリー マニュアル通りにガラス管を片方の手で支え、もう片方の手で回しながら柔らかくなるまで熱し、炎はら出して一気に引っ張ったところ、それらしき物は出来上がった。内径を約0.5mmにするというところまで注意が回らなかったため、太さに統一性のないものになってしまった。

融点測定管 同様にガラス管を熱し、引っ張ることで細い管を作った。そして管を炎に近づけ一端を閉じようとしたところ重力の影響により先が曲がってしまった。しかし管を手で回転させながら炎に近づけたところ、うまく口を閉じることができた。

沸石 ガラス管を熱しこねてみたら、塊状のものができたのでそれを引き伸ばし2cm程度に切断した。

二段引きキャピラリー ガラス管を炎で熱し6cm程度に引き伸ばした。そして再び引き伸ばされた部分の端の方を熱し引き伸ばしたところ、切れてしまった。何度かやってみたが切れるという結果に終わった。だがそれまで割りとゆっくり引き伸ばしていたのが失敗の原因であると仮定し、次に管を一気に引っ張ってみたところうまく引き伸ばすことができた。

曲管 一端を閉じることをせずに、ガラス管を熱し柔らかくなったところで折り曲げ息を吹き込む作業をしたところ曲がる部分が内側に凹んでしまった。後で一端を閉じたものを使い試してみたが、息を吹き込むのが遅かったのか形はほとんど変わらなかった。これについては時間がなくなってしまい完成品を作ることはできなかった。

[考察]全体的に太さの調節がかなり適当になってしまった。ガラス管を引き伸ばすタイミングを計るのに集中し、太さにまでは気が回らなかった。それからガラス管を熱した際に何度も焼けどをした。ガラス管を熱した後は注意が必要である。ガラス管の折り方で、狭い範囲に切り傷を入れるとかなりの力が必要でうまく折れなかったが、浅い傷を管を一周するようにつけてから折ったところ簡単に、しかも綺麗に折ることができた。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送