不老不死への科学

老化研究の概論 klotho遺伝子 テロメア 活性酸素 DNAの損傷と老化 遺伝子多型と老年医学 老化の進化的共通性 早老症と老化抑制遺伝子 細胞不死化と再生医療 脳の老化 人体冷凍保存(クライオニクス) 老化を抑制する薬 不老不死を実現する方法


第13章 不老不死を実現する方法

13.1 寿命を延ばす科学的方法

今まで述べてきたように、不老不死への科学的なアプローチの方法として、
@老化を抑制する
A体のパーツを修復・交換する
B生物学的な時間の進行を停止させる
といったものが上げられる。

老化を100%くい止めることができなくても、ある程度老化の進行を遅らせつつ古くなった部品を修復・交換していくということを無限に繰り返していけば、不老不死の実現も不可能ではない。これから研究速度が上がっていき時間の進行より寿命を延長させる速度の方が速ければ、人体冷凍保存を使わなくても済むだろうが、研究速度が上がらず時間の進行より寿命を延長する速度が遅くても、人体冷凍保存により科学の進歩を待つことができる。
つまり理論的には不可能ではないのである。
よってこれから我々が考えるべきことは不老不死研究のためのシステムの構築と未来に備えての社会システムの考案である。

13.2 研究システムの提案

この場を借りてこれから作るべき研究システムの提案をしたい。
まずは老化研究、抗老化研究、再生医療、人体冷凍保存などの不老不死の実現を目標とする研究を行う研究組織を設立する。また人体冷凍保存を行う非営利団体をアメリカ以外にも日本や他の国にも設立する。この上で不老不死研究組織・人体冷凍保存団体・政府・世界中の研究室、研究組織・大学や企業などの組織同士で世界的なネットワークを形成する。不老不死研究組織は政府や人体冷凍保存団体などから研究資金の援助を受け、それと同時に大学などの教育機関に資金を提供し研究者の育成を支援したり、優れた研究をしようと思っている研究室やベンチャー企業で資金援助が受けられない団体に対し資金援助を行ったりすることで、不老不死研究の活性化を促す。また世界中の研究組織でネットワークを形成することで人材や情報の流動性を高め効率的な研究を行えるようにするとともに、外部に対して積極的な情報公開を行う。研究成果を出したチームには賞や賞金が授与される。研究者は教育活動にも積極的に参加し、講義をネット上で配信することで大学の壁を越えた知識の共有を実現する。

このようなシステムを構築することが必然というわけではないが、少なくとも研究速度を上げることはできるかもしれない。
ここまでしなくても意外と早く不老不死の実現に近いところまで行きそうな予感はするのだが、予想通りに行かないこともあるということも考えると、このようなシステムを構築する必要性は十分にあると言えるのではないだろうか。


放射型図表
図 研究システムの概略図

13.3 老化研究の意義

不老不死が実現した場合、人間の生活は大きく変わっていくと考えられる。今の社会では何か一つの専門分野を持ち、それに関係した仕事を一生続けていくというのが一般的であるようだ。確かに平均寿命が100年もない現在においてはそういう進路をとるのは妥当であるが、仮に1000年以上の時間があったら、ほとんどの人はいろいろな分野に精通していくだろうし、大きな国家プロジェクトに参加して最後まで関わっていくこともできるだろう。そもそも一つか二つの分野で働き続けなければならないという決まりはない。本来は様々な分野に精通する可能性もあるのだが、寿命という生物学的限界のためにそれができていないだけだ。これは仕事だけでなく趣味などに関しても言えることでやりたいと思ったことを全て極めることも可能になるだろう。だから[個性を大事に]とか[オンリーワンが大事]という考え方は本来持っている人間の可能性を限定しているだけだ。今の教育が一つの個性を伸ばしていこうとする方向に向かっているのなら、改めたほうが良いだろう。今は一つのキャラで十分楽しんでいけるかもしれないが、寿命がもっと延びた場合、一つのキャラで生きるのは飽きてくるはずだ。むしろ重要なことは新しいキャラをどんどん開発していくことなのだ。寿命が延びれば開発したキャラを表現する時間も十分とれるだろう。つまり寿命という生物学的限界を克服することは理想のライフスタイルを実現するためのハードウェアを提供することになるのである。

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